死に物狂い

他人から影響を受けやすい人間のフィクション日記

6と5の間で―Wake Up, Girls! FINAL TOUR - HOME -~ PART Ⅲ KADODE ~ 一宮公演に行ってきました―

 早速に自分語りから始まって恐縮だが、私は半年ほど前に関西から愛知県にやって来た。サラリーマンとしては珍しくもない、よくある悲哀の1ページではあるが、まさか自分が東海の地で生活をする日が来るとは全く思ってもみなかった。最初は色々思うところもあったが、今では生活も落ち着き、新たな職務にも慣れ、とはいえドタバタしながら毎日を過ごしている。

「思うところ」というのはここで書く話でもないので割愛するが、ともあれ今この地で生活をする意味を大きく感じられているのは、他ならないWUGちゃんのおかげでもある。ツアーで西へ東へ行くことを考えれば、愛知という地は非常に利便がよく、移動するにあたって無駄がない。今になって考えると、関西に居たままであれば、もっと無理のある行程になっていた公演もあったから*1、実際のところ非常に幸運であったと思っている。

 そして極めつけが愛知・一宮公演の発表であった。私のもやもやを完全に払拭してくれたその告知は、新しく自分が生活している、言い換えれば自分にとっての新たなHOMEである地が、同じくWUGちゃんにとっての新たなHOMEになるということで、重ねて意味を吹き込んでくれる、大変に嬉しい知らせであったのだ。

 というわけで、2/16および17に開催された『Wake Up, Girls! FINAL TOUR - HOME - ~ PART Ⅲ KADODE ~』の一宮公演(全日程)に参加してきた。毎公演、その時々の全てを出し尽くしているように見えるWUGちゃんたちは、愛知の地で何を見せてくれるのか。変わらぬ楽しみを胸にして行ってきたものである。以下にはライブのネタバレ・長文(13000字程度)・乱文・ポエムを含むため、読んでいただける方は予めご了承いただけると幸いである。例によって長くなってしまったので、再び文章のこじらせ度を見出しの★~★★★で示すこととした。星が多くなるほど、読んでいて頭の痛くなる可能性が高くなるため、参考にされたい。なお、過去と同じことを書いている可能性は多分にある。

会場に行く★

 名古屋から10分電車に乗れば、そこはもう一宮。しかし、会場の一宮市民会館は駅から徒歩30分。これはもう歩くしかないですね(定例)。ひたすら平坦な道が続くため、実際には30分もかからぬ内に到着。晴れていてよかったなと心から思いました。サンキュー山下さん。

 会場隣接の公園では、力いっぱい遊ぶ子どもたちの声と、力いっぱい推しのブロマイドを引いた喜びを叫ぶワグナーの声が入り混じり、夕焼けもあわせて非常に平和な空間でした。しかし気温は低く、風もビュンビュンに吹いているなかの入場待機はなかなかにきつかったです(結局何で入場時間は遅れていたのでしょうか)。仙台にはカイロを忘れずに持っていこう。

 

入場★

 相変わらず、個人で複数のフラスタが出されている光景は圧巻ですが、それだけにとどまらず、デザインが何ともまあ凝っているものもあれば、思い思いの想いが広がっており、徳島と比較して数は少ないわけですけれども、仙台そして埼玉への橋渡しとしてとても良い空間を作り上げていただけたのではないかと感じています。「写真はロープの前から撮ってくださ~い」という会場スタッフさんのかけ声は、ロビーが過度に詰まらないようにするための処置でしょうが、普通逆だよなと少し面白かったです。

 

客席へ★

 本会場は、客席内で1階と2階を行き来することができる(上階への入り口は設定上3階になるようですが)という点で珍しいように感じられました。客席の分断が生じていないんですね。そのため上下差はあれど、会場としては一つになっているという雰囲気。客席数以上に空間が大きく感じられたのは、そういうところも理由の一つかなと思っています。

 各席のスペースは比較的ゆったりととられていて、かつ1階席は6列以降段がついており、さらには列ごとの前席とのズレがしっかりと設けられていたため、非常に舞台を見やすい環境でした(近さを捨て置けば、5列よりは6~8列の方がしっかりと舞台上を捉えられたのではないか)。同じライブは一つとしてないわけですが、それは同じ会場もまた一つとしてないからなのでしょう。

 

開演★

 (席位置:13列右・12列左・8列左)

 ツアーの千穐楽どころか、ユニット自体の解散がもう目前に迫っているというときに、演目中のスピーカーから笑い声が聞こえてくるなんてことが、普通考えられるでしょうか。よくある話ならごめんなさいですが、常識的に考えれば「ない」と思うわけです。笑っているせいで歌えてないんだもの。

 本公演では、座席位置がスピーカーの同一直線上にあったために、その音圧を身体全身でストレートに受けることとなり、久々にトリップする感覚を得ました(大音量の音楽が洗脳に用いる理由がよく分かりますね)。つまりは、第三者視点化といいましょうか。全く他人事のように感じられる時間。舞台と客席を斜め上から眺めているような感覚。私が見ているのは人の歴史か、あるいは人間賛歌か。舞台という、魔法のかかった場所で戦う人間の姿は、それ自体がもはやフィクションなのであって、何が、どこまでが現実なのか、よく分かりません。しかし、この日一宮公演があったことは事実であり、それを無事に見届けられたことを、私は非常に嬉しく思っています。

 

2ndツアーをもう一度★★

 1日目の衣装は7GWのセーラー服でした。私にとっては2ndツアー衣装との印象が強い、というのは、単に初めてこの衣装を見たのが2ndBDだったからというだけの話ですが、その2ndの印象が強いからということもあるのか、不思議なもので7人が非常に幼く見えました。意図せずして、当時の映像を重ねていたのかもしれません。時間が遡っているように感じられたのは、先日の3rd衣装に身を包んだ7人を見たときと同様でありますが、より時間が経過しているためか、一層にタイムトラベルをしている感覚に陥りました。田中さんの黒ニーハイが左右でズレていたのが非常にフェティッシュ。というか、ニーハイという存在がもはや懐かしいような…(7sensesはどうなんだ)。

 

7 Girls War

 一宮公演の可能性と方向性は、この曲をもって示されました。間奏における各人の特技披露パートにおいて、おもむろにシャチホコジャンプを披露する高木さん。それに驚きと笑顔を見せるメンバーたち。この流れなら絶対に来るだろうと思っているところで期待通りに「涙ファー」してくれる青山さん。のっけからこのようなものを見せられてしまっては、「楽しくならないはずがない」との確信を抱かざるを得ず、ここまで来て何やってるんだろうこの人たち…と私もニッコリ。よくよく考えると、舞台上はもちろんのこと、演目中に客席から笑いが起こるライブって何なんでしょうか。楽しいですね。

 

タイアップコーナー(1日目)★★

 全くもって今さらなのですが、過去の衣装を着て演じられるタイアップ曲は非常に重みがあるなあと感じました。この日の7GW衣装や、その他、例えば少女交響曲の衣装は、タイアップ曲のそれとは世界観が違うように思われるわけです。これは、タイアップによって声優ユニットとしてのWUGと、コンテンツとしてのWUGが、展開的にも分離され始めたように感じられるからかもしれませんが、ともあれ個人的には、過去の衣装とタイアップ曲はイメージが一致しないように感じています(デザインの方向性が違うというだけかもしれません)。

 だからこそ、とまで言えるかは分かりませんが、過去衣装を着てのタイアップ曲は、「過去と現在」の、あるいは声優ユニットとしての「Wake Up, Girls!」と、コンテンツとしての(アニメとしての)「Wake Up, Girls!」の邂逅であるように感じられるわけです。あっちの世界の7人が、こっちの世界の7人の曲を歌っている。本当に今さらなのですが。

 余談ですが、センターがはっきりしているからか、タイアップ曲は最初のフォーメーションで判別できるようになってきました。嬉しい。

 

企画コーナー(1日目)★

 1日目はキャラソンシリーズ1のメドレー。ということは、名実ともに2ndツアーの再来であります。(3rdの衣装だった)長野公演のときよりも増して、画面越しでしか見ることのできなかった当時の情景を、今という時間に再現してもらっているように感じました。もちろん、その時からは変わっているところもいっぱいあるのだろうけれども、あの日の空気を窺い知ることができただけでも、非常に幸せな時間であったと言えるでしょう。

 そしてシリーズ1ということは……「シャンシャンシャンシャン!」徳島の夢はまだ続いているのかもしれません。(ラヴィータラヴィータ)

 

夢の世界をもう一度★

 実際のところ徳島の夢はまだ続いているんじゃないかなあ、と思ったのは2日目の衣装の影響もあり……ということで2日目は昼夜通してスキノスキル衣装でした。THIS IS FANTASIA. ファンタジー感というよりかは、演劇感がすごいといった方が正しいかもしれません。(でもそれって、要はファンタジー感ということかもしれない。)

 紗幕越しではなく見るのは今回が初めて*2。主に丈の長さのせいと思いますが、重そうに見えます。膝丈のスカートでバカスコ踊るのもなかなか不便そう。

 

少女交響曲

 先ほど「過去の衣装を着てタイアップ曲をやること」が云々かんぬんと申し上げたのは、スキノスキル衣装で踊る少女交響曲と素顔でKISS MEが衝撃的だったからです。何てアンマッチなんだろう。そして、そうであるのにどうして見ていて気持ちが良いのだろう。

 アンマッチに感じるのは、この衣装が(スキノスキルという曲自体も相まって)他のものと比べて、モリモリに世界観を持っているからではありますが、それだけではなく、その衣装を着るに至った背景や、ユニットとして置かれた状況の違いも大きく作用しているのかなと感じた次第です。(という前提で議論はタイアップコーナーへ戻る)

 

素顔でKISS ME★

 スキノスキル衣装×素顔でKISS MEは妙な化学反応を引き起こし、見る者の心を揺さぶります。白を基調とした衣装は、照明の変化によく映える。ターンによって丸く膨らむスカートは視覚的に美しい。個人的に、楽しさトップ争いを常に繰り広げている曲でして、ここでお腹から声を出す練習をしておくことで、以降の観賞がスムーズになるという一石何鳥になるのか分からないお得さ。何よりもやはり格好いいですね。

 

タイアップコーナー(2日目)

僕らのフロンティア

 これは私が、僕フロに部活動イメージを強く持っているからなのですが、スキノスキル衣装で行われる僕フロは、えらくレベルの高い演劇部が文化祭でその成果を発表している姿のように見え、このときだけは会場内が学校の体育館になった感覚を覚えました。どこかノスタルジックなんですよね。あんなに爽やかなのに。

 

企画コーナー(2日目)★★

 キャラソンが唄われているとき、舞台上にいるのはどちらの7人なのでしょう。という問いに対しては、WUGちゃんがどのような意識で唄われているのかは失礼ながら知りませんが、基本的にこちらの(ユニットとしての)7人であると認識しています。

 そうであるところ、1日目・2日目を通して、企画コーナーにおける永野さんは、林田藍里が降りていたといいますか、いつもにも増して魅力的なパフォーマンスをされており、空間が歪んでいました(褒め言葉です)。もちろん、林田藍里の方が永野愛理よりも魅力的であるなどと言いたいわけではなく、恐らくはバッキバキに踊っている他曲との対比によるものだとは思うのですが、(一人で唄うという点では同じであるはずの)感情を載せに載せた大阪公演でのソロイベ曲ともまた違う、表現者としての奥行きを見せつけてくれたように感じています。

 圧巻だったのは青山さんの『Dice of Life!』。曲自体の格好良さもそうですが、「Dice of Life!」の声とともにストロボライトが如き光で照らされるステージと、露わになる後方舞台装置の骨組み。廃墟ビルで歌っているような錯覚を覚える景色に、心打ち震えました。

 ところで、2日目昼の本コーナーにおけるセトリは、4thツアーのそれと同様であり、さらには『ヒカリキラリミルキーウェイ』における田中さんの真顔での誇張物真似や、吉岡さんと山下さんのユニゾン等、演出面でもやはり映像でしか見たことがなかった光景を今に再現してくれており、この時間を非常に幸せに感じました。

 

恋愛サーキュレーション

化物語』がもう10年前なんですって。もうびっくりしますね! 確かに、コメンタリを聞きたいがためにお小遣いはたいてBD買ってたわ……という郷愁に浸りつつのバレンタイン特別企画。カバー曲を唄うのは今に始まったことではありませんが、このタイミングでやるというのは……何だこのユニット。曲中のコールアンドレスポンスが完全に決まるところに、作品としての影響力の大きさを感じました。(そして神前さんももう20年戦士なんですね。すごいなあ。)

 

チョコレートチャレンジ★★

 1番の終わりとともに手籠が登場。「これはなにか来るぞ…」という期待に会場が包まれるなか、間奏の時間を利用してのチョコレート投げが始まりました。1階席・2階席の各方面に散らばったメンバーの手から、チョコレートが放たれていきます。それに対してにょきにょきと伸ばされるワグナーたちの手。傍から見ると、空中の一点に向かって数本の腕が伸ばされているため、それはそれで綺麗でした(花弁みたい)。

 と、余裕ぶっている場合ではありません。長野公演の餅まき以来、こういうときにはやる気を出して、獲りに行く姿勢で臨むことに決めたものですから、近くに来てくれたメンバーの色を振り、両手を挙げ、名前を呼び、「今私は手塚ゾーン(誤用)を発動している」との強い気持ちをもってチャレンジに挑みました。

 残念ながら、1日目の吉岡さんゾーンではノーチャンス。悔しい涙に暮れ、一夜明けた2日目のチャレンジは、昼夜ともに奥野さんゾーンでの挑戦となり、「奥野さんはこっちに投げてくれる気がする」との全くの無根拠な自信を胸に、奥野さんの腕の動きを見据えその時を待ちました。

 昼の部。奥野さんの手から投じられたチョコレートは、重なり合ったワグナーたちの手をすり抜け、私の目の前に飛んできました。これは絶好のチャンス。しかし、相変わらず反射神経に乏しい私の両手は空を切り、胸に衝突した結果前の座席に落下。周辺のワグナーさんと目配せをしたのち、ホームランボール譲り合いの精神でチョコレートは前の方のものとなりました。何の障害もなかったのでこれは非常に悔しいところ。しかし、奥野さんの想いがそのまま直接的に私の胸に届いたのだと解すると、物として手に入れられたかはさておいて、非常に価値のある経験ができたのではないでしょうか(真顔)。

 夜の部。奥野さんの手から投じられたチョコレートは、対角線上の通路際にいる私の方向を向きつつ、しかしその頭上を軽く越え中央列まで飛んでいくという大投擲。その後再びチャンスが訪れたものの、数多の手によって弾かれた結果、前の方のもとへ着地。「ずーぱらTシャツを着ててよかったです!」と笑顔で感想を語ってくれた姿を見て、私は本当に良かったと思いました(そのときまで青山さん推しと思ってました)。

 余談ですが、恋愛サーキュレーションはおなじみ株式会社第一興商協力のもと実現したらしいところ、本講演会場の最寄り駅であるJR尾張一宮駅の近くには、東海地域に4店舗しかないCLUB DAMの内の1店舗がありまして、その点も、めぐり合わせの一つだなあと勝手に運命を感じています。

 

HIGAWARI PRINCESS★

 私は奥野さんだと思ってましたよ。(もはや日替わりでもなくなった)

プリンセスななみ

 姫の布告により、この日をもって一宮市は徳島国に編入することとなった。

プリンセスまゆ

 一声目から様子がおかしく、「今日は可愛さ全振りでいくんだな」と吉岡さんのプロ意識に敬服していたところ、途中で急にプリンスに変わったのを見て「そういうのもあるのか」と思っていたら、最終的には1フレーズごとに役割を切り替える技術に拍手。田中さんの一人三役に追いつけ追い越せ。

プリンセスよしの

 一声目から様子がおかしく、「今日は可愛さ全振りでいくんだな」と青山さんのプロ意識に敬服していたところ、途中で急に「よぴよぴプリンセス☆ よぴプリプリ~」などと言い出したので、「これがプリパラか」と納得。ところで、熊本公演で拝見した姫はどちらに行かれたのでしょうか。

 

言葉の結晶★

 久々にツアーで聴いた気がしますが、「透明になる」のドゥーンで「あ、これこれ」と体の内側から内蔵を揺さぶられるような感覚を思い出しました。相変わらず聴くだけで体の芯をボコボコにされます。メッタメタにされるのも覚悟の上で、一度でいいから近くで見てみたいものですね。(もうそのチャンスはなさそうだけど)

 

さようならのパレード★★★

 

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 正直なところ、ここで来るとは思っていなかったのですが、改めて考えると、一宮が厳密な意味では「誰にとってのHOMEでもない」からこそ、ここでの披露となったのかなと感じています。例えば、もし徳島や仙台で初披露となれば、山下さんや永野さんの想いが、本曲の存在によって覆い隠されてしまう可能性があると思うからです。語弊を恐れずに言えば、愛知には特定のメンバー誰かの想いが根底にあるわけではない、フラットな土地だと考えられます。したがって、本公演で披露されることになったのも、必然と言えるかもしれません。「曲を完成させる」ための準備を始めるタイミングとしては、この上のないものだったのでしょう。

 シャッター通りは吉岡さん、フライトは永野さん、結晶は青山さんによって曲が紹介されますが、さよパレは吉岡さんの「それでは聴いてください」の後、7人全員の「さようならのパレード」の声によって始まります。この時点でもうグッと来ている。

 本曲においては、その全編に、WUGちゃんがこれまでに唄ってきた楽曲の振り付けが散りばめられており、今までの歴史を追体験できる、言わば曲自体がそのまま『想い出のパレード』になっています。私が気づいた(と思われる)のは僕フロ、少女交響曲、タチアガレ、BtB*3、7GWといったところで、間違いなく他にもまだまだあると思いますが、ともすれば継ぎ接ぎのように見えてしまう可能性を含む中で、違和感なく全体が構成されていたと感じています。

 節目の曲に過去曲の振り付けを盛り込む手法はよくあるものなのか、私は寡聞にして知りませんが、曲中でパッと頭に思い浮かんだのは、先輩ユニットi☆Risの『Shining Star』でした。

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 その意味では、先輩の通った道を行くんだけれども、しかし最終的な行き先は全く異なる。大きな分岐点において、先輩後輩のつながりを感じさせる(勝手に感じてるだけですが)要素によって、私はこの曲に、より重みを感じています。

 

はためく旗に連れられて★★★

 どのようなパレードにもフラッグはつきものであり、それはWUGにおいても例外ではありません。「進もう!」という掛け声の後、ステージ後方には、風にはためく、「Wake Up, Girls!」と書かれた旗の姿が映し出されます。

 旗手は誰でしょうか。やっぱり7人でしょうか。それともワグナー? いや、その場に居る全員かもしれません。なんて言ったって「僕らのパレード」ですから。もはや誰が先頭かということでもないのです。みんなが一緒になって同じ時を過ごし、同じ道を進んでいる。「Wake Up, Girls!」という御旗のもとに

 しかしそんな時間はもうすぐ終わりを迎えてしまいます。一本だった道もそれぞれに別れていくことでしょう。でも大丈夫。私たちはきっとまた会えるから。約束の地に立てられた「Wake Up, Girls!」という旗を目印に、私たちはきっとまた会えるから。

 

カーテンコール★★★

 曲の終わりでは、メンバーが順番にステージのセンターへと一歩を踏み出し、次々にお辞儀をしていきます。その姿はさながらカーテンコールであり、「Wake Up, Girls!」という演目が、本当に終わりを迎えるのだということを示してくれます。

 そしてラスト。それはパレードの終わりでもあるわけですが、タチアガレのフォーメーションを組みながら、しかし並びはMC順である7人は、客席に背を向け、ステージ後方へと歩いていきます。と、私は認識しているのですが、誤っている可能性を含んでいることを前提にさらにポエムを書きますと、ここはMEMORIALジャケット写真の直後の時間軸である気がしてなりません(『想い出のパレード』ロゴの立体化とも言える)。パレードが終わり、一人ひとりが挨拶を終え、私たちワグナーに全員で笑顔を見せてくれた後、振り返って各々の扉に進んでいく。私たちはそれを笑顔と拍手で見送るべきなのでしょう。たとえぐじゃぐじゃの笑顔であっても。大丈夫大丈夫。約束の地に立てられた旗が、また私たちを導いてくれますから。

 なお、夜公演の曲中における奥野さんの優しい呼びかけにより、ラストの「Wake Up!」は会場全体で言うのが正解と分かりました。嗚咽にまみれた声になりそうですが、できれば笑ってこの言葉を発したいものですね。

 

最後に感謝を★★★

 長野公演の前に、私は「この曲を歌う7人を眼にした時、私は真にすべてを受け入れられるのだろうと思っている。」と書いていました。

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 初披露となった本公演において、まずもって私の中に芽生えた感情は「感謝」であり、涙を流すことはなく、聴き終わった後も存外スッキリとした気持ちでおりました。最後の最後に、よくもこんなに面白い曲を持ってきてくれたと、ただただ感心するばかりなのです。あの振り付けはどの曲だろうかと、どうしてここの歌詞にこの振り付けを当てはめることになったのだろうと、想いを巡らすだけでも楽しいのですから。

 また、CDで聴いたときには、祝祭感溢れる曲調に、ともすれば寂しさが感じられる部分もあったわけですが、ライブのさよパレはとても前向きに聴こえるのです。なんて面白い。もちろん、寂寥感はあります。ありますが、それは本旨ではないと思えるわけです。それが、WUGちゃんたちが私たちとともに創り上げようとしているパレードであるならば、全力をもってそこに応えたいというのが私の今の気持ちでございます。

 などと言っておりますが、今この文章を書きながら盛大に泣きじゃくっているので、おそらく本番はもうボロボロだと思われます。何とぞよろしくお願いいたします。

 

余談と願望★★

 私の願望として、新曲4つを連続で聴きたいというものがあります。要はアルバム通りにということですが、そうすると、さよパレの置き位置がすごい難しいように思われます。SSAでは4曲ともに演じられることになると思っていますが、さよパレ以上にフィナーレ感がある曲はないと思うので、ラストに持ってくるほかないと思うんですよね。

 ただ、この曲で本当に最後を飾るものだろうか、という気もするわけです。「笑顔で終わる」ことを考えるのであれば、それこそ極スマや7GWないしは7sensesといった曲のほうが適任なわけで、4曲を散らす可能性もあるでしょうし、最終的にこれは、ライブをどのようなデザインするかとの決めの問題ではありますが、ともあれ私は「新曲4つは『新・劇場版Wake Up, Girls!』を彩る楽曲群である」説を主張すべく、開幕シャッター通りを予想しておきます。(オッズ500倍)

 

Polaris★★★

 演者が「良い」と評した行動に関して、いち早く取り入れようとするのがオタクでありワグナーであるのかもしれません。過去の公演でも言及はされていたものの、1日目そして2日目昼公演のMCで「みんなが肩を組んでくれているのを見るのが嬉しい(しかし強制するものではない)」と重畳的に触れられたことにより、2日目夜公演においては自然発生的に、しかし必然的に(私の観測範囲に限るという留保のもと、少なくとも1階においては)ほぼ全ての座席で肩を組むワグナーの姿が見られました。

 私もこの日まで肩を組んだことはなかったものの*5、2日目夜はやっぱり雰囲気が違ったといいますか、開演前の段階ではお隣さんと明確に「肩組もうぜ」コミュニケーションをしていたわけではなかったのですが、「ラララ」が始まったところで左右を見ましたら、「組みましょう!」という力強いお言葉を頂いたものですから、気持ちよく肩を組むことができました。

 他人と肩を組んだのは何年ぶりだろうなあなんてことを考えるわけですが、物理的に触れ合うことはそれだけで一体感を醸成するもので、この後の7GWの楽しさはいつもの数倍増しになっていたように感じますし、もしPart3の千穐楽SSAの映像に、会場全体が肩を組んで歌っている姿が残ったとすれば、記録にも記憶にも残る本当にいい想い出になるだろうなと感じています。

 加えて言えば、結局このようにコミュニケーションの壁を破壊してくれたのはWUGちゃんたちなわけで、まだまだ助けられてしまっていますね。

 

地下鉄ラビリンス ★

 問題作。満員電車時に高木さんが、その伸びやかな体躯と(恐らくしていたであろう)迫力ある顔芸で青山さんに押し迫り、後ろに追いやられた青山さんは山下さんに激突。またもや笑い声の交じるスピーカー。何をしているんだこの人たちは。

 そしてラップパート後の客席侵攻から帰還が間に合わない各人(大体山下さん・奥野さん・青山さん・高木さん)。舞台上でつまずき、図らずもヘッドスライディングで自位置に戻る青山さん。どよめく会場。永野さんが「(アンコールだからって)何やってもいいってわけじゃないんだよ!?」と呆れるのも無理はありません。サンプラザホールをどう走るのか、今から楽しみで仕方がありません。

 

この7人で本当によかった

「7人」であったということ★★★

 高木さんによる青山さん推しの強奪が続く昨今でありますが、この日はあの山下さんと奥野さんの口からも「推し変も仕方ないよね」という趣旨の言葉が聞かれ*6、いとも簡単に鞍替えする自身のファンに憤慨していた青山さんでさえ「みんな自慢のメンバーなんですよ」との許容を見せたところ、また一つ歴史が動いたように感じられました。

 そのなかで発せられた吉岡さんの「この7人で本当によかった」との言葉。演者自身にこういうことを言われると、私は本当に駄目なのです。「そう言ってくれてよかった」と、安心に似た気持ちを抱きます。

 私は表面的に見える関係性を心の底から信じることができません。これは非常に悪い癖で、往々にして物事を楽しむ邪魔になるのですが、WUGちゃんに関しても、「解散はメンバー全員とスタッフが相談して決めたこと」であるという事実が強調されればされるほどに、7人の関係性にどこかひびがあったのではないかと、邪推をしてしまうところがありました。我ながら全くもって悪いファンだなあ、というか人間性がよくない。

 しかし、こういった吉岡さんの飾らない言葉は、私にとっての救いであります。そしてその言葉を聴く7人の表情も同様に。「出会えてよかった」と思えるって本当にすごいことだと思うのですよ。私は最初から箱推しであり、わぐらぶの推し設定に「全員」の項目がある気遣いに喜んだ人間でありますが、これからもそれが変わることはないでしょう。

 

一箱推しとしての悩み★★★

 とはいえその箱がなくなるわけで、もはや「7人」を「7人」として応援することは叶いません。また、単推し×7と箱推しの間には小さくない壁があるように思います。それに加えて、今後ひとまずは7人をセットとして取り扱うことも望まれないのでしょう。例えば、(喜ばしいことに)温泉むすめには全員が出演することとなりましたが、あえて表立って絡ませることはないように思われます。

 さらに言えば、結局私は7人を個々人として見てはいなかったのではないか、との負い目も感じています。単推しができる方々に感心してしまうのは、そういうところによるものなのでしょう。

 そもそも、箱をなくす選択をしたにもかかわらず、変わらず7人として捉えることは、せっかくの決断を無視し、彼女たちを枠に嵌め直すことにもなりかねません。では、私のような箱推し人間はどうすればよいのか。ゆっくり考えていこうと思います。何せ、推すものがなくなった分、時間はたっぷりとあるわけですから。

 そう言った上で、願わくば、北川景子さんがご自身のブログでセーラームーンに言及するような感じで、7人にも関係性を継続していただけたらなあ、などと勝手ながらに思っております。

 

6と5の間で★★

 「今日を終えると、WUGとしてライブができるのはあと5回。個人的に6と5の差は大きいと思っている。」と語る奥野さんの言葉を引き取り、「仙台のあとに、SSAの1回で終わりというのは受け容れられると思うが、5という数字にはすごい寂しさを感じてしまう」と言葉を紡ぐ青山さん。涙を流しそうになりながら、「でもそれはみんなも同じなんだよね」と続けます。

 青山さんは本当にどこまでいっても観客目線だなあと思うわけですが、不謹慎にも、私はこうして演者が「寂しい」と言ってくれることに嬉しさを感じてしまいます。この想いは一方通行じゃないのだなと思えるからです。「解散」という要素がブースト的に働いているのだとしても、全員が「もったいない」と想ってくれているのだろうなと、そう感じられるからです。言い換えると、それは全員が「7人でももっとできるはずだ」との強い気持ちを持ってくれているのだろうということでもあります。私はそれを非常に心強く感じるのです。

 スピーカーからホワイトノイズが聞こえるほどの静寂に包まれるなか、どうしても泣いてしまいそうでMCを終えられない青山さん。どうしたってここから極上スマイルに繋げる想像ができません。そこにいつもの瞬発力で駆け寄る満員電車高木さん。青山さんのみならず、会場全体が笑いに包まれ、無事極上のスマイルで公演を終えることができました。この日一番の感動的な場面だったと思っています。

 

門出のときはますます近づく★

 終わりが近づいているのはスタンプカードを見ても明らかですし、避けられない事実であります。しかし一方で、私は「本質的には何も終わらない」のだとの感情を強めています。ただの強がりかもしれませんが、それもまた事実であると思うのです。というよりは、7人がそう思わせてくれているということなのでしょう。

 来週はいよいよPart3千穐楽。発券したところ、1階R・3階C・1階L・3階Cと、あらゆる角度からステージを見届けることができそうです。はしかの流行が報じられる中ではありますが、皆さまなにとぞお体にはお気をつけて。聖地でお会いできることを心より楽しみにしております。

 

 

その他★

・奥野さんMCで場を荒らしすぎ問題。唐突に全員での投げキッスを提案したり、カンフーパンダで話をまとめようとしたりと大暴れ。青山さんの絶句した顔が印象的。まとまるものもまとまらなくなりそう。リーダーお疲れさまです。

・「私と目が合った人は今恋に落ちたんだろうなあ」と笑いながら言う山下さんにはもはや恐怖さえ覚える。

・僕フロやスキノスキルのステップはあんなに上手に踏めるのに、どうしてスキップはできないのか山下さん。

・MCのときにメンバーを見る笑顔が仏レベルに優しかった高木さん。仙台でのアガペー期待してます。

・要所要所で打ち合わせもしてないのにSEを入れるPAさんほんとPAさん。

・MCで饒舌な田中さんを見られるのはとても嬉しい。

・田中さんと目があわないのは滅多に視線を下げないからではないか。

・吉岡さんと高木さん、7sensesのバレエターン綺麗でした。

・「WUGちゃんがんばっぺおじさん」なのか「ワグナーがんばっぺおじさん」なのか今いち判別がつかない。

・大田さんはSSAにも来るのだろうか。きっと来るんだろうな。

・snuggery、夕日のオレンジすごかったですね。

・TUNAGOの1番間奏ダンス。みんな違ってて面白いですね。

・プリンセス紹介時の音楽、クソ雑魚でも頑張ってメロディだけでも耳コピしたら、あとは諸兄がオケを足してくれるだろうかと思ってやり始めたが、おそらく著作権的に怪しい。

*1:それはそれで楽しかったのかもしれないが

*2:と書くとそもそも初めてのことが多すぎるわけで、ツアーを通していかに総ざらいしてくれているのかを実感します。

*3:ディストピア」で片目を隠す仕草が出てきたので、非常に世界観のつながりを感じた。

*4:毎度の余談ですけど本当にこういうダンス動画うらやましい

*5:「組みたくない人もいるだろうな」という認識を捨てられないわけで

*6:山下さんの言い方は「いずれ自分のもとに帰ってくるでしょ」という自信を含むものであったが