死に物狂い

他人から影響を受けやすい人間のフィクション日記

1月に読んだ本など

 そこそこ読めたが内容は覚えていない(定期)

 

 100分de名著シリーズのバックナンバー約100冊を読破したら人生変わったとの記事を読み、なるほどと思って、記事内でおすすめされていたものを買った形。いわゆる上座部と大乗の分類は何となく知っていたが、そもそもなんでそんな風に思想が別れていったは気にしたこともなく、非常に面白く読んだ。

 「正しい教え」はそもそも誰から見たものかで変わるということか。大乗仏教が、当初のブッダの教えから離れてしまっているとしても、一概に悪いことではなく、多くの人を救おうとしてきた結果とも言える。そこは宗教というものをどう捉えるかで印象も変わるか。

 イメージとしては、マーケティングに努めて各時代と場所に求められるサービス内容を提供してきた結果、みたいな話か。次々と経典が作られていく過程は、超活発な同人活動のように感じられ、やっぱり人ってそういうものなんだなあと思った。

 

会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。

会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。

  • 作者:青野 慶久
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2018/02/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

  正月休みの終わりが見えてくるにつれ、会社行きたくないなあの気持ちが肥大化してきた時に目に止まったので読んだ。青野社長もサイボウズも、メディアで見聞きする範囲ではあるが、どういう存在かを知っている。

 ポジショントークっぽいところもあるのだが、それはまあそういうものだから特に問題はない。

 内容について異議を持つ部分はほとんどないのだが、とはいえ行き着くところ結局は金銭面とのバランスの問題になるのではないかなあと元も子もないことを思う。確かに大企業は年功序列で、組織も重たいし、従業員のモチベーションも人によって大きく差がある。フラストレーションが溜まることも多い(主観ではあるけど)。働く人間に、基本的には我慢を強いるモデルであると思う。ただ、何やかんやで食うには困らない待遇を得られるので、それを我慢の度合いと比較考量した時に、「まあええか」となるのでは。と、自分の周りを見ていて思う。ただ、それが良い結果を生むのかは分からないね。ゆでガエルになっているだけと言われれば、それはそう。

 話は変わるが、社内でイライラしている人を見ると、「会社という存在がなければこの人はこのイライラを抱えることもなかっただろうに…」などと思うことがある。もちろん、会社がなければないで、他のことがその原因になるだけかもしれない。ただ、少なくとも会社という存在が負の感情を生み出す一つの根源になっていることに違いはない。そう思うと、我々は毎日何をしてるんやろなあと感じる。

 別にキラキラ働きたいわけでもないのだが、何というかこう、もう少し日々なんとかならんかと思いながら電車に乗る。

 

NHK「100分de名著」ブックス 柳田国男 遠野物語 (NHK「100分 de 名著」ブックス)

NHK「100分de名著」ブックス 柳田国男 遠野物語 (NHK「100分 de 名著」ブックス)

  • 作者:石井 正己
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2016/03/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

  大乗仏教の流れで、kindle unlimitedの対象だったから読んでみようと思った。ずっと「えんや」物語だと思っていた。アホですね。

 どうして同じような話が複数残っているのか。他の民間伝承にしても同じことだが、そこには理由があるはずで、しかし明確に説明されることはない。というか、説明できるものでもないのか。「~だろう」という話はできても。ある意味ではそれが本物らしいとも思える。というのは、創作物で考えると「説明不足」の一言で切り捨てられてしまいそうだから。面白い小説というのは、そうなるように人為的に説明をつけているのだな。もちろんこれは、遠野物語が面白くないと言いたいわけではない。

 多分、次に岩手に行くのはイーハトーヴシンガーズの定期演奏会になると思っているが、あわせて遠野市にも赴けないかと考えている。

 

批評理論入門―『フランケンシュタイン』解剖講義 (中公新書)
 

  読書猿さんがどこかで紹介していたのを見て読もうと思った。フランケンシュタインを題材に、批評とはどういうものかを教えてくれる。なお、私はフランケンシュタインを怪物だと思っていたよくいるタイプの人間です。

 批評には、文章の技法について論じるものと、作品内容を利用して文学に関係ない分野を論じるものがあって、近年では後者が主流らしい。個人的には「批評」というと前者のイメージだった。

 山のように批評の例が出てきて驚く。当然ながら、「この本を読めば自分も批評できるようになる」わけではない。ただ、一つの作品について、これだけの側面から物事を論じることができるのだなと実感できる。もちろん、それはフランケンシュタイン自体が持つ作品の力もあるのだとは思うし、さらに言えば、作者は意図的にそう論じられるように作ったわけでもないだろう。ただ、「このように理解することもできる」のは事実なのであり、その幅を知っておくのは、物語を読む上で大切なのではないかと思った。とりあえず、次は原作を読んでみよう。

 

雨の日も神様と相撲を (講談社タイガ)

雨の日も神様と相撲を (講談社タイガ)

 

  読もうと思って早4年が経過していたことに気が付き、大きな危機感を覚えて読んだ。久しぶりの城平京作品だったが、読んでいけば行くほどに、「あっいつもの城平作品だ」と思える。

 小柄でありながら、両親の影響により相撲とともに日々を歩んでいた主人公が、とある理由で田舎に引っ越しすることになり、そこでカエルの神様に相撲を教える話。という説明で興味を持ってもらえるかがわからないので、言い換えると相撲ボーイミーツガールwithカエルである🐸

 城平作品は大体中盤を過ぎたあたりで世界観の説明が行われ、以降はなだらかに物語が展開し、終盤でもう一回アクセルを踏むイメージ(これも三幕構成と言えるのか)なのだが、今作は特に終盤の畳み掛けが気持ちよくてドキドキした。

 舞台が米作地帯であり、またカエルというアイコンも相まって、映像化したら面白そうだなあと思うのでいつかやってほしい。実写よりはアニメがいいなあ。あと劇場アニメの方が似合うと思います。最初の電車のシーン、タイトルが現れるところまでめっちゃ想像できる。

 

 なお、虚構推理にあわせてなのか絶賛コミカライズ中です。面白いですよ!

pocket.shonenmagazine.com

 

 

medium 霊媒探偵城塚翡翠

medium 霊媒探偵城塚翡翠

 

  本屋でめっちゃ積まれていたので読んだ。霊媒推理モノです。帯から何から「だまされた!」みたいなことが書かれているので、そういう話であることは明らかなのだが、どう来るかはわからないので身構えて読んだ。

 とにかく登場人物みんなに感情移入をして読んでほしい。そうすればするほど、きっと面白いと思う。私はめっためたに移入していたので、結果的に頭を殴られました。表紙絵込みで一作品。テーマ的にはどこかTRICK的な匂いも感じました。

 

 

秘書綺譚―ブラックウッド幻想怪奇傑作集 (光文社古典新訳文庫)

秘書綺譚―ブラックウッド幻想怪奇傑作集 (光文社古典新訳文庫)

 

 『ホーンテッド・キャンパス』で引用されていたので読んだ。ホラー小説です。(怪奇小説と言うべきなのか)

 私が読むホラー小説では、大抵その恐怖現象の原因について解説なり説明なりがなされる。内容の細かさに差はあるけれども、少なくともヒントというか、考察の足がかりになるような情報をくれるし、そもそもミステリ的な要素を含むものが多い。

 本書にもそういう話がないわけではないが、どちらかと言えば、「得体の知れないものは得体が知れない」みたいな姿勢か。それゆえに怖さも増幅される。

 全体的に情景の描写が仰々しくて好きである。

今夜の本当の試煉は、一つではなく二つの恐怖と闘わねばならないことだ、とハッキリ知ったからである。自分だけでなく、叔母の恐怖も引き受けなければならない。
>ブラックウッド. 秘書綺譚~ブラックウッド幻想怪奇傑作集~ (光文社古典新訳文庫) (Kindle の位置No.120-122). 光文社. Kindle 版.

 

この古い建物の暗い内部全体が悪意を持つ〝 存在〟と化し、立ち上がって、もうやめろ、余計なことにかまうな、と警告しているようだった。
>ブラックウッド. 秘書綺譚~ブラックウッド幻想怪奇傑作集~ (光文社古典新訳文庫) (Kindle の位置No.207-209). 光文社. Kindle 版.

 

ことに、ある一つの感覚ではなく、五感のすべてが複合してつくり上げる感覚作用にとっては、私のすぐわきに、ある人格が立っていたのだった。
>ブラックウッド. 秘書綺譚~ブラックウッド幻想怪奇傑作集~ (光文社古典新訳文庫) (Kindle の位置No.890-891). 光文社. Kindle 版.

 

普通の物音というのは、それに聴き耳を立てていない間だけ普通なのである。緊張して聴いていると、異常な、ものものしい、そして途方もない音に変わってくる。だから、この音も私には何か特殊な嫌らしい音に聞こえた。

>ブラックウッド. 秘書綺譚~ブラックウッド幻想怪奇傑作集~ (光文社古典新訳文庫) (Kindle の位置No.2488-2490). 光文社. Kindle 版.

 

 こういう文章を書けるようになりたいものですね🤔

 

 以上、2月は『巴里マカロンの謎』から始まる予定です。(未定)